すみとも歯科ブログ Blog

位相差顕微鏡~お口の中の細菌を見る~

みなさん、こんにちは。
東京都世田谷区にあり、東急世田谷線「上町駅」から徒歩1分にある歯医者、すみとも歯科・矯正歯科クリニックです。

「口腔内細菌 歯周病 位相差顕微鏡」について知りたいというという方はこの記事をぜひ読んでください。

この記事では、位相差顕微鏡で口腔内細菌を可視化する検査の内容と流れ、メリットと限界、検査頻度、見える細菌の種類、歯周内科の考え方、全身との関係までをやさしく解説します。この記事を読むと、歯周病の仕組みと具体的な対策が分かり、検査を受ける前の不安が少なくなります。歯周病やインプラント周囲炎が心配な方、ご家族の口腔内細菌の状態を把握したい方は、ぜひ最後まで読んでください。

 

1.位相差顕微鏡検査とは(口腔内細菌と歯周病を見える化)

位相差顕微鏡は透明な細胞や口腔内細菌の輪郭と動きを強調して映し出す装置です。歯周病は口腔内細菌が主因の感染症であり、位相差顕微鏡検査は口腔内細菌の種類の傾向やその活動性、密度をリアルタイムで把握できます。短時間で患者様負担が少ないことが特徴で、検査直後に結果を説明できます。

・位相差顕微鏡とは?
位相差顕微鏡は光の位相差をコントラストに変換することで、染色を行わずに生きた口腔内細菌や白血球の動きを観察します。スピロヘータのようならせん菌の運動性も把握でき、採取したプラークをそのまま観察できるため、結果をすぐに共有できます。

・位相差顕微鏡「歯周病細菌検査」で分かること
運動性の高い口腔内細菌が多いかどうか、バイオフィルムの成熟度の目安、白血球の出現など炎症の兆候、治療前後の映像比較による変化、セルフケア改善点の具体化などが分かります。

・検査の限界と注意点(培養検査・PCRとの違い)
位相差顕微鏡は菌種名の特定や厳密な定量には向きません。培養検査やPCRは特定菌の検出や量の把握に有効で、位相差は活動性と形態の傾向を評価する道具です。

診断は歯周ポケット検査、出血の有無、レントゲン所見と合わせて行い、抗菌薬の適応は歯科医師が総合判断します。

 

2.検査の流れ(痛みの少ない3ステップ)
検査はシンプルで数秒で終わります。痛みなどはありません。プラーク採取部位は歯周ポケットや舌背、歯頸部などで、すぐにモニターで細菌画像を共有できます。

・手順1:歯周ポケットなどからプラークを採取
細い器具で微量のプラークを採取します。出血リスクは最小限で、炎症が強い部位を優先します。処置は数秒で終了します。

・手順2:位相差顕微鏡にプレパラートを載せて即時観察準備
採取したプラークをガラス板に置き、カバーガラスで乾燥を防ぎます。顕微鏡に設置してピントを合わせ、準備は約1分です。

・手順3:モニターでリアルタイムで観察
モニターに映した動画を一緒に確認し、口腔内細菌の動きや密度をその場で把握します。所見に基づき予防計画を提案します。動画を保存しているため、過去の状態からの変化の比較が簡単にできます。

 

3.位相差顕微鏡検査のメリット
位相差顕微鏡検査は理解を深め、歯周病のリスク判断に役立ち、治療効果の見える化で継続意欲が高まります。医療の共通言語にもなります。

・視覚化でモチベーションUP(患者さん教育)
自分の口腔内細菌が動く様子を目で確認すると、危機感が具体的になりセルフケアが続きます。家族への説明もしやすく、定期メンテナンスの必要性を実感できます。

・リスクの把握と個別予防計画の最適化
活動性の高い細菌が多いかどうかを判断し、洗口液の併用やブラッシング指導の重点を決めやすくなります。インプラント周囲の清掃方法や、生活習慣改善の指導に具体性が生まれます。

・治療前後の変化を数値・映像で比較
治療開始前の動画と再評価時の動画を比較し、プラーク指数や出血率などの数値と合わせて評価します。努力の成果が見えるため継続しやすく、改善が乏しい場合の原因分析にも役立ちます。

 

4.検査頻度とタイミング
初診時に実施すると現在地の把握ができ、歯周基本治療の前後に実施すると効果確認ができます。メンテナンス時に定期実施すると再発予防に有効で、生活習慣やリスクに応じて間隔を調整します。

・初診時/歯周治療前後/メンテナンス時
初診時はベースラインの動画を取得し、治療後は活動性の低下を確認します。メンテナンス時は維持状況を確認し、インプラント治療前後にも応用できます。

・再評価の目安(バイオフィルム再形成サイクル)
バイオフィルムは数日から数週間で成熟します。再評価は1〜3か月の範囲で設定し、喫煙、口呼吸、糖尿病などのハイリスク要因がある場合は短めの間隔を提案します。

 

5.どんな口腔内細菌が見えるのか
観察で多いのは嫌気性菌で、スピロヘータや桿菌、球菌の集合体が見られます。カンジダなど真菌を認めることもあり、白血球が活動している様子が映る場合もあります。

・代表例:スピロヘータ(らせん菌)と活動性
スピロヘータはらせん状で高速に動き、活動性が高い場合は炎症と関連します。抗生物質などの治療により減少または消滅し、出血が減ることがあり、継続観察で変化を確認します。

・嫌気性菌の増加と歯周病の関係
嫌気性菌は酸素が少ない環境で増殖します。深い歯周ポケットは嫌気環境になりやすく、嫌気性菌が増えると組織破壊が進むことがあります。機械的清掃で環境を変えることが重要です。

・真菌(カンジダ)など併存微生物の所見
真菌は抗菌薬使用後や入れ歯の清掃不足で増えることがあります。専用の口腔ケア(ペリオバスター、約3000円)で負担を減らし、所見に合わせて指導内容を調整します。

 

6.口腔内細菌の基礎知識
口腔内細菌は常在菌として共生し、バランスが崩れると歯周病に傾きます。食事、唾液量、清掃でバランスが変化し、夜間は唾液が減って細菌が増えやすくなります。

・常在菌と感染症としての歯周病
常在菌は健康維持にも働きますが、病原性の高い菌が優位になると感染症に傾きます。免疫状態や生活習慣が影響し、早期介入で健康状態に戻せます。

・好気性菌/嫌気性菌・栄養源・バイオフィルム
好気性菌は酸素が多い場所、嫌気性菌は酸素が少ない場所で増えます。糖質やタンパク質が栄養源となり、バイオフィルムは薬剤が届きにくい集合体です。

・夜間の口腔環境とセルフケアの重要点
就寝中は唾液が減ってpHが下がります。寝る前の歯間清掃は特に有効で、目的に合う洗口液の併用も役立ちます。朝のブラッシングでリセットしましょう。

 

7.歯周病治療と「歯周内科」の位置づけ
歯周内科は機械的清掃を基軸にし、化学的アプローチは補助的に用います。位相差顕微鏡の所見は治療計画の参考になり、薬剤に過度に依存しないことが重要です。

・機械的プラーク除去(スケーリング・SRP)
歯石とバイオフィルムを徹底的に除去し、ポケット内環境を好気性に近づけます。出血と腫脹の改善が期待でき、再発予防には定期性が必要です。

・補助的抗菌療法(必要時の抗生物質の内服・含嗽薬など)※適応と留意点
内服薬や含嗽薬は症状とリスクで選択します。出来るだけの抗菌薬使用は避け、副作用や耐性化の可能性を説明します。機械的清掃とホームケアを優先します。

・ホームケア(歯間清掃/電動ブラシ/薬用歯みがき)
歯間ブラシとフロスの併用を基本に、電動ブラシで磨き残しを減らします。薬用歯みがきは目的に合わせて選び、装置や入れ歯の清掃も継続します。

 

8.全身疾患との関連

歯周病は全身の炎症と関連し、糖尿病とは双方向に悪化要因となります。循環器疾患や早産との関連も報告され、定期的な口腔管理は全身の健康にも寄与します。

・細菌性心内膜炎
心内膜に細菌が付着すると重症化します。基礎疾患がある方は注意が必要で、出血を伴う処置の前には医科と連携します。口腔内細菌のコントロールが予防に有効です。

・糖尿病(双方向の関係)
歯周病は血糖コントロールを悪化させ、高血糖は歯周組織の炎症を悪化させます。双方の治療で改善が期待でき、医科歯科連携が重要です.

・早産・低出生体重児
妊娠中の炎症はリスクとなり、安全な時期のメンテナンスとセルフケアの徹底が重要です。担当医と連携して進めます。

・心血管疾患・骨粗鬆症など
慢性炎症は動脈硬化に影響し、骨代謝との関連も示唆されています。服薬情報の共有を行い、総合的な健康管理を重視します。

 

9.費用と所要時間(目安)
位相差顕微鏡検査は短時間で完了します。通常、自費治療となりますが、当院では事前開業以来、ずっと無料で行っています。まずは初診カウンセリングで行い患者様にご自身の口腔内細菌(リスク)を知ってもらう事が重要と考えています。

・位相差顕微鏡検査と治療の費用
検査などの費用と、治療の費用を区別します。検査と動画保存、説明は無料で行っています。治療は、自費扱いとなり約3000~5000円ほどです。細菌の状態に応じて最適なプランを提案します。無理なく継続できる設計にします。(レントゲンなどの費用は別途保険負担です。)

・検査から説明までの所要時間
受付から採取まで数分、説明は約30分が目安です。治療計画の相談まで含めると約60

分です。兎に角、ご自身の事をよく知っていただけるようご説明します。

 

10.よくある質問(FAQ)
初めての方が抱く疑問にまとめて答えます。不明点は気軽に相談してください。検査は予約でいつでも受けられ、家族一緒の相談も可能です。

・「検査だけ受ければ歯周病は治るの?」
検査は現状把握のためのツールで、治療を行わないと治りません。機械的清掃とホームケアが基礎になり、歯科医院での治療が必要です。検査結果に基づいて行動を変えることが重要で、定期メンテナンスで維持できるようにします。

・「抗菌薬(抗生物質)だけで改善できますか?」
抗菌薬は補助的手段で、主役はバイオフィルムの物理的除去です。自己判断での服用は避け、適応は歯科医師が決めます。

・「どのくらいで細菌はまた増えますか?」
バイオフィルムは数日から数週間で成熟します。生活習慣で増減の速度が変わるため、再評価の結果で間隔を調整します。メンテナンスとセルフケアの継続が鍵です。

 

11.歯周病は見て理解して続ける時代へ(見える化)
口腔内細菌と歯周病と位相差顕微鏡の関係は明確です。見える化は理解を深めます。検査と治療とメンテナンスの3本柱で予防が進み、ご家族の将来の健康を支えます。

位相差顕微鏡は口腔内細菌と歯周病の関係を可視化します。検査は短時間で負担が少なく理解が深まります。治療前後の動画を比較することにより変化を理解し、継続の力になり、定期メンテナンスで再発を予防できます。

すみとも歯科クリニックではWEB予約を承っております。
何か気になる点がございました方は以下からご予約ください。

https://reservation.stransa.co.jp/1a93ef961dd3be4a5c6664e23abf37ee

監修者:


すみとも歯科クリニック
院長 住友 栄太

プロフィール
・高知県出身 高知追手前高校卒業。
・昭和大学歯学部卒業後、同大学歯科病院第3補綴学講座在籍(主にインプラント治療及びインプラントの動物実験を行う)。その後、アメリカ ロサンゼルス UCLA歯学部に2年間留学。歯周病予防とインプラント治療を専攻。
帰国後、都内のインプラントセンターで多数の治療を行いながら、すみとも歯科クリニックを開業。

所属団体・組織
■ 日本口腔インプラント学会
■ デンタルコンセプト21
■ インビザラインドクター
■ ITI認定インプラントドクター
■ 高濃度ビタミンC点滴療法学会

 

 

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